花盛りの頃は 臭いどころか、良い香りですのに。
臭いのは、葉や枝を傷つけられた時だけ。警告なんですよ。
そんなクサギの花が、そろそろ、実になってきました。

白い花の後、閉じたガク(萼)の中で 実の準備をします。
実った時には、真っ赤なガク(萼)をパッと開いて 中心に青い実。
一度見たら忘れられない 個性的な変身ぶりですね。
夏の盛りから咲き始め、今もずっと咲き続けています。
夏休みに出かけた時、高速道路からも、両側の空き地で花を咲かせている
クサギがよく見えました。
これがクサギの花↓、優雅な姿でしょ?

手元の図鑑に寄れば、伐採や何かの理由で、草も木もなくなってしまった 裸地に
いち早く現れて、土地が落ち着くまで栄える開拓者、
アカメガシワやヌルデとならんで、このクサギがそういった
"森林先駆群落"に 良く生える木の代表なんですって。
確かに、近所に生えているクサギ、高速道路を移動中に見かけたクサギ…
みんな 崖や工事現場跡地のような場所で 大きく豊かに花を咲かせていました。
土地が落ち着いて他の木が栄えてくると、いつの間にか消えてしまうんですって。

真っ赤なガク(萼)が印象的ですが、ときおり、薄い色のものもあります。
清楚な感じですね。
すぼめた口から息を吹き出すように 元が細くて先で五つに開く花をつけます。
おしべめしべが長くて、香りだけでなく、姿も素敵です。
花の盛りには、百合の香りを軽くしたような 柔らかく甘い香りを漂わせます。
前に見に来た時には、大きな羽の黒い蝶々が 香りに酔いしれるように
花の間を飛び回っていました。

うってかわって、実になると、こんなに青いんです。
ガク(萼)がパッと開いて より一層目立ちますよね。
たぶん、これは鳥さん達に 猛烈にアピールしているんじゃないかな?
青いより赤い方が 鳥さん達からはよく見えますからね。
植物の中で青い染料が取れるのは、アイ(藍)の他にはこのクサギの実しかないそうで、
染色家さん達の間では珍重されているそうです。
わら(藁)のあく(灰汁)とともに染めると、美しい浅青色(はなだ色)になるんですって。
萌え出たばかりの若葉は、軽く湯がけば青臭さもなく 美味しい山菜になるそうですよ。
ゆでた若葉を乾燥させて保存しておいて、お汁に具に使った地方もあるんですって。
リューマチや高血圧の薬にしたり、
強い殺菌成分を利用して、はれ物(腫れ物)の治療に使ったり…里山の人たちの生活に
密接に関わってきた木だったようです。
秋が深まるうちに、青い実は もう少し黒っぽくなります。
自然のデザインって本当に良くできているなぁと、クサギの花や実を見ると感心します。
名前なんかに惑わされないで、仲良くしてくださいね、クサギの木。
******10/3付け 追記******
花の仕組みや虫との関係をhappyislandさんの
「種山ヶ原森林公園へようこそ」の
「クサギの花の秘密」で
読むことが出来ます。
お山のクサギの とってもきれいな写真もあわせて 楽しめますので、ぜひごらん下さいね。
happyislandさん、よろしくお願いします。
クサギの実の藍色の写真はとても素敵ですね。染めたらどんな色が出るのでしょうか。興味津々です。
クサギの木には色々な秘密があるようだし、ホント、これからも仲良くしていきたいです。
毎度 参考になる記事をありがとうございます。
TBもありがとうございました。
生態って言うんでしょうかね、
それそれの生き物の、生き延びるためのしくみって、知れば知るほど面白いですよね。
染色をなさる方は、そちらのお里の方が発見しやすそうですが、
いらっしゃらないかしら?
私もクサギの実で染めたはなだ色♪興味があります。