春咲く花の中には 夏が来る前に種を実らせて、地上からは姿を消してしまうものも
少なくないんですよ。
花の穂を伸ばしたいだけ伸ばして、ぐちゃぐちゃに絡まっているのは、
春まだ寒い頃には、可憐な姿だったキュウリグサです。

こんなになりますからね、草むしりの時には、遠慮しない方が良いですよ。
あっちには遠慮する気はありませんから。(^^)

花の落ちたあと ひとつひとつに茶色い種が入っています。
可愛いけど、繁殖力は旺盛です。
野原の日だまりに いち早く咲いて、誰からも愛される青い花オオイヌノフグリ。
その名の由来の片鱗を この時期、伺うことが出来ます。

オオイヌノフグリ…そのまま変換すると「大犬の陰嚢」。
くるんとあがった雄犬の しっぽの下で揺れている 毛皮の袋のことですね。
もともと日本に自生していた 「イヌフグリ」と言う花は、
花が一回り小さくて目立たない上に、
その実がまさに 犬の陰嚢によく似ていたのだそうです。
時代は流れ、外国から よく似た花が入ってきたときに、
在来種の「イヌフグリ」より、花が大きいので
単純に、名前に「オオ(大)」を付けたそうなんです。
学名では、刑場へ向かうイエスキリストの
汗をぬぐったハンカチに尊いお顔が浮かび上がるという奇跡を連想して、
その奇跡の主人公ベロニカの名を付けられているんですよね。
ああ、なんとまあ。
キリスト教徒の方に、この花の和名を尋ねられたら、
「星の瞳」とか「瑠璃唐草」とか「瑠璃鍬形」とか当たり障りのない別名を
教えてあげてくださいな。オオイヌノフグリじゃ、申し訳がないでしょう。(^^;)
さて、その実はいかがかな?

よく似たお仲間のタチイヌノフグリにも実が付いています。

オオ…とおなじように帰化植物で、花の時期が少し遅めで、
立ち姿がスマートで 花がとっても小さい 弟分です。
花の時期には詰まっていた葉と葉の間が 少し伸びていたけれど、
やっぱり似たような実が付いていました。

でも、この付き方だと”アレ”よりはハート形に見えますね。
ブログ内関連ページ:
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2006/4/3付 キュウリグサの花