旦那さんとちょこっとドライブに行ってきました。今回は’寒くないと見られ
ないもの’でした。とっても良かったのですが、それについてはまた、写真の
整理が出来たらご紹介します。とりあえず今回は前回の続きをお楽しみください。
ちょこっと離れた大きな街にある大きな公園の 小さな万葉植物園で撮ってきた
写真のシリーズ2回目。今回は、草の仲間を集めてみました。
まずは、枯れてもなお 花の形。

可愛いなあ。ニラの実ですよ。お花の後に出来た黒いタネがこぼれた後の姿です。
お野菜として身近なニラですが、万葉集に登場するほどの昔なじみとは、失礼ながら
知りませんでした。
万葉集に登場する名前は「くくみら」。あら、何だか、可愛い名前ですねえ。
今後、町おこしとかでイメージチェンジを計りたいときには、この名前を使えば
スイーツにだって…利用でき…るかなあ?(^^;)
何はともあれ、くくみらが歌い込まれたのはこんな ガールズトークのような歌。
「伎波都久の 岡の莖韮 われ摘めど 篭にも満た無 ふ夫なと摘まさね」
きはつくの おかのくくみら われつめど こにものみたな ふせなとつまさね
伎波都久(きはつく)の岡に茎韮(くくみら)を摘みに来たけれど、籠(かご)はぜんぜん
一杯になりませんよ。じゃあ、あの人と一緒に摘みなさいね。
はいはい、どんな仕事をするかじゃないんだ! 誰と 働くかなんだ!って感じ?
愛する旦那様とだったら、ニラなんて有ってもなくでもどうでも…(^▽^)良かないか。
ちなみに「伎波都久(きはつく)」の岡がどこかははっきりしないそうですが、
常陸の国というから、茨城あたりの真壁郡とか、
いやいや、島根県益田市の鎌手山の近くのことだよと句碑まで建てちゃったという
記事も見つかりました。
「万葉の旅 鴨山」
いやいや、特定の地名ではなくて、村を囲む生け垣のことだよという記事もありました。
浜島書店 「万葉の植物 ニラ」
なにぶん、遠い昔の奈良時代のこと。ほんとのところはどうなのか。分かんないなあ。
記事のメインは「うけら」。
キク科の多年草、民間薬として利用されたオケラのことです。
健胃、整腸・めまい・動悸・息切れなどに効果があると言われて来たそうです。
おとそにも入れるんですって。

大の綿毛好きを自認するわたくしといたしましては、外せない綿毛の持ち主なんですが、
いかんせん、普段の行動半径にはないものですから今回が千載一遇のチャンス。
とびきりの美人を前にしたカメラマンのごとく、いっぱい写真を撮ってきました。

9〜10月に、この苞(ほう)から飛び出すように白い花が咲きます。
その様からなのでしょうか、現代人から見たらとてもそうは思えませんが、
「目立つ」という言葉とセットで歌われたようです。
「恋しけば 袖も振らむを 武蔵野の うけらが花の 色に出な、ゆめ」
こいしけば そでもふらんを むさしのの うけらがはなの いろにづな ゆめ
もし恋しくなったのでしたら、袖を振って(私のことを)呼んでくだされば良いのですよ。
武蔵野のうけらの花の様に目立ったことをしないでくださいね、けっして。
まあ、なんて奥ゆかしい。可愛らしい恋人同士、初々しい恋を連想しますね。
年下の彼かなあ…(’’?)

どうです? オケラって素敵なお花でしょう? でも、ちょっと変わっていますよね。
しかもキク科だなんて、予想外って言う姿 でしょう?
タイプとしてはキク科の中でも、菊よりはアザミのお花の造りに近いかもしれません。

魚の骨のような苞(ほう)に囲まれて、白い筒状花が咲くんです。
花後は、ひとつひとつの花の固まりごとに放射状に羽毛のような綿毛がつくんですよ。
あ、でも、タネってこの黒いところかなあ…(’’?)←解らないことだらけ。

自然って、時々、どうしてこんなに手の込んだことをするんでしょうねえ。
手が込みすぎて、一般化しなかったのかなあ。
進化の途中で、置いて行かれた形 だったりするんでしょうかね?
でも、おかげでこんなに綺麗なものを見せていただけて、有り難いです。
今度は葉っぱが緑でお花が咲いているときに是非、写真を撮りに来たいです。
オケラの説明にはとっても詳しいこちらの記事をどうぞ。
製薬会社さんのページです。
日本新薬 植物図鑑DB 『植物の話あれこれ』 → 「オケラ」
最後は、をばな(尾花)。まあ、これは、結構有名ですよね。
秋の七草にも「尾花」で登場しますし。
万葉集には、その他にススキ・をばな・草(かや)・み草 などの名前で歌われて
いるそうです。
また、穂が出始めたばかりの尾花(をばな)を特別に"花すすき"とか"はだすすき"
などともいうそうです。愛されてるなあ、ススキってヤツは。

…で…、写真のように穂が乾ききって綿毛がキラキラしているススキは、なんて
言うんでしょう。枯れ尾花ってだけじゃ、かわいそ過ぎる姿ですけど…。(^^;)
枯れ尾花を歌った歌は見つかりませんでしたが、こんな作品をご紹介しておきます。
「我が宿の 尾花が上の 白露を 消たずて玉に 貫くものにもが」
大伴家持(おおとものやかもち)
わがやどの おばながうえの しらつゆを けたずてたまに ぬくものにもが
意味: 私の庭の尾花の上の白露を消さないで玉のように貫き通せたらよいのに。
はいはい、綺麗な連想ですね。川の泡を首飾りにしてとねだったお姫様の話が
西洋にもありましたが、綺麗なものを見たら、長くその姿をとどめておきたいし、
身に飾ってもみたくなる。乙女心は洋の東西を問わないと言ったところでしょうか。
それとも、いい人に 贈ってあげたい男心かしら。
まだあるんですよ。冬枯れの万葉の庭で、なあにやってんでしょうねえ。
寒いのに。(^m^)物好きね。
参考サイト:
歌の紹介と解説
「楽しい万葉集:万葉集の入門サイトです」
「万葉植物園」
くくみら
「万葉の旅 鴨山」
浜島書店 「万葉の植物 ニラ」
うけら
日本新薬 植物図鑑DB 『植物の話あれこれ』「オケラ」
シリーズ 大きな街の大きな公園 1/11撮影
2011/ 1/11付 「ロウバイ園」
2011/ 1/12付 「万葉の庭 1」
ニラもオケラもススキも、何気なく撮影して、
「こと終われり」としていましたが、
こんなに奥深い話題があるとは。
はい、そうなんですよ。ネタ切れを救うのは、万葉集なんです。
ファンが多くて、検索するとたくさんの記事が見つかって
参考になりますから。(^v^*) ←ちゃっかり
あ、でも、今日、ふと気付いたんですけれど、
万葉植物園は各地にあるようですが、
百人一首とか古今和歌集とか…、いや、いっそ源氏物語や枕草子とかの
植物園ってあるんでしょうかね?
私が気付かないだけかなあ。
それとも、万葉集に出てくる植物が他に比べても多いとか、
何か理由があるんでしょうかねえ?