2006年04月21日

ウラシマソウの花

今回は、ひと月にわたる継続観察の成果をご紹介します。

舞台はいつもおさんぽしている公園の 山野草の花だん。
本来なら、お山にあるはずの草ですが、
郊外とはいえ、街中に住む私にとっては、これさえも花だんのお花です。
その点はご了解くださいませ。



まず、3月の下旬、
そろそろなにかの芽が出てないかな?とのぞきに行ったら、
こんなものを見つけたところから、今回の観察が始まりました。

06_0421_urasima1.jpg

チューリップの芽くらいの大きさ。半透明で、細かくて紫の斑点付き…。
こんな芽を出す植物を ここの花だんで見たことあったかしら?



ちょっと心当たりがあったので、カタクリを見にいったついでに、
前々から見かけていたマムシグサらしい花がどんな芽生え方をするのが覗いてきました。

カタクリ保護のためロープが邪魔して、近くへは寄れないのですが、
マムシグサらしい 奇妙な仏炎苞が立つ場所は、数年前から知っていたんです。

有りました有りました、花の時期にはまだ早いので、思った通り芽だけです。
花は 毎年楽しみにしていましたが、
こんな風に芽を出すなんて私も初めて知りました。

06_0421_o_mamusi.jpg


サトイモ科テンナンショウ属の仲間たちの花はとってもユニークです。
なんでこんな姿にしたんだろうと思うほど、他の植物には似ていません。

ただし、仲間内はそっくりさんぞろいです。だから芽吹きも似ていて当然。
ということは、テンナンショウ属の仲間のどれかが出てくるんだ♪と
期待も高まります。どれかな〜。

なにぶん、今までは 見ても近くには寄れなかった花ですから、
あの奇妙な仏炎苞をめくって中がのぞけるかも知れないなんて思ったら(^^)〜♪
もう嬉しくて飛んでいきました。

それが4/9。

06_0421_urasima2.jpg

うぎゃ、もう芽が割れて中身が出てきてる。
背が高くないこと(15cmくらいかな)、濃い色の細長〜いものが出てきたこと。
まあ、だいたいの見当はつきましたが、引き続き観察です。



4/11。

06_0421_urasima3.jpg

こんなへんてこなものが生まれようとしているのに、みんなサクラに夢中です。
公園はソメイヨシノからヤマザクラにシフトして、モモもハナカイドウも咲き出して、
相変わらずに賑わっていました。
でも、山野草の花だんで誰かと鉢合わせすることは 一度もありませんでした。
誰の目も引かなければ、このままいたずらされずに済むかも知れません。
よしよし、みんなそのまま 木の花ばっかり見上げてなさいね。(^^)



4/13。

06_0421_urasima3.jpg

大きな葉っぱが開き始めました。
テンナンショウ属の葉っぱは基本的に2枚まで。
どんなに大きくても、どんなにたくさんの部分に分かれていても、
葉っぱの数は 1枚か2枚です。
まあ、サトイモ科ですから、あの大きなハート型の芋の葉に
切れ込みがいっぱい入っているという感じでしょうか。
ちなみに画面の、仏炎苞の後ろ側の先の枯れた細い葉は、
この植物の葉ではなくて、シャガか何か、別の植物の葉です。



4/18

06_0421_urasima5.jpg

葉っぱがすっかり開きました。
結局、この株は葉っぱを1枚しか出しませんでした。
ムラサキがかった濃い色の仏炎苞、長い長い糸状の付属体。
これは「ウラシマソウ」ですね。

仏炎苞から伸びる 長い糸状の付属体を
浦島太郎の釣り姿に見立てての命名です。
お山でもありふれた野草でしょうが、姿のユニークなのを好まれて、
結構、お庭でも栽培されている 山野草です。


仏炎苞が姿を現したので、根元の方にちょっと注目してみました。
なんでも、テンナンショウ属の花は、おばなとめばながあって、
花粉を仲介に来た虫たちは、おばなからは出られても、
めばなからは出られないんだって聞いていたので、
この花が、おばななのか めばななのか 調べてみたくなったんです。

06_0421_urasima6.jpg

仏炎苞の下の部分、筒状になった花びらの(ようなものの)付け根のほど近くに
小さなすきまが空いています。
これはおばなのようです。ああ、真っ赤な実は見られないのね。

栄養状態で性別が変わるそうだから…次はどうしたら雌株になってくれるのか
調べてこなくちゃ。←おいっ!



4/19。

06_0421_urasima7.jpg

仏炎苞を覗いてみたけど、おしべまでは見えませんでした。
仏炎苞上部の色の濃い部分。深い色合いで、綺麗ですよね。

この「釣り竿」付け根に、肉穂花序といわれる 
むき出しのしべがずらっと並んだ ちょいとグロテスクな花をつけます。

匂いにつられて狭いすきまを進んでいくと、どんどん狭くなるものだから、
焦るんだろうな、虫くん達。
もがいてもがいて 花粉まみれになって、一番奥の狭いすきまから
命からがら逃げ出すのに、
また、そっくりな花をみつけると、もぐり込むんだろうな。
この前は出られたから、今度も大丈夫と思って…。
でも、それがめばなだったら、出口は無いんですって。
虫にとっては、こわい花ですねぇ。




スゴく面白い生態の 詳しい解説は、こちら
福岡教育大学の福原せんせいに聞いてください。

ちなみに、この先生の「花の簡易デジカメ紫外線写真」もスゴく面白いです。
虫たちには、花ってこう見えているんだって言うことが解ります。


posted by はもよう at 11:47| Comment(12) | TrackBack(1) | 花だんの花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最初からずっと経過観察されて、成長具合がよく分かりますね。虫の出る穴まで確認されて素晴らしいです。
ほんとうに桜だけでなく、こういうものも面白いのに皆さんあまり見ていないようですね。
TBありがとうございました。
Posted by 横浜のおーちゃん at 2006年04月21日 13:07
すごい!
よく観察されていましたね。
4/9あたりのウラシマソウを見たのは初めてです。
「へ〜、こんな風に出てくるんだ(驚)」
Posted by bigtree at 2006年04月21日 21:11
いつも勉強させていただいています。
ウラシマソウは去年の位置をうろ覚えに覚えていたので、今年は注意して見ていたのに気づいた時には4/13のあたりの状態でした。足元まで入り込めない林の中なので、ほかの草から飛びぬける程度まで大きくならないと見えない、というハンデもあるのですが。
Posted by ひろし at 2006年04月21日 21:41
いやースッゲーびっくりしました。
この花、実はすっごい美しい形ですね。
こんなのがいるから生き物の勉強はやめられませんね〜^^
Posted by 006 at 2006年04月21日 21:43
おーちゃんさん、いらっしゃいませ。
これが以前申し上げた
ずっと追いかけてたウラシマソウ です。
公園の花壇にこれを植える事を思いついて下さった方のおかげで、
私も運良く見せていただくことができました。
とっても珍しいものを見る事が出来て 嬉しいです。

福原先生のページも教えていただいて助かりました。
ありがとうございました。
Posted by はもよう at 2006年04月21日 22:18
こんばんは、bigtreeさん。
4/9あたりの姿って思いがけないですよね。
でも、これ、15cmくらいのウラシマソウだからこんなものですが、
50cmくらいある 大きな大きな マムシグサだったらもっと迫力ありそうですよ。(^^)
探してみませんか?

Posted by はもよう at 2006年04月21日 22:21
ひろしさん、こんばんは。
いえいえ、こちらこそ いつも勉強させていただいております。

今回は 花だんだからこそ 出来た観察だと思います。
お山でこの姿を観察するのは難しいでしょう。
でも、芽がとっても可愛くてきれいだったので、
来年は、見ていただきたいな♪なんて思いました。

出たばかりの芽を踏まないで、
枯れ葉や枯れ木を 難なく飛び越えて、
植物の観察が 出来ればいいのに…と時々思います。(^^;)
Posted by はもよう at 2006年04月21日 22:29
006さん、お久しぶり〜。
旅行記の執筆(^^)、お疲れ様でした。
行き先がうらやましすぎたので、コメントこそ書かなかったけど
時々見てましたよ〜。(^^)/

ウラシマソウの仏炎苞、すっごく綺麗でしょう?
図鑑とかには『グロテスク』なんて書かれちゃうけど、
この色は独特で、とっても魅力的ですよ。
綺麗めストライプも お洒落な感じだし♪

コメントありがとうございました。
生き物のお勉強、ご一緒させて下さいね。
Posted by はもよう at 2006年04月21日 22:38
大変面白く読ませていただきました。
皆が桜に気を取られている時でよかったですね。
先日、写真を撮りながら「此花はどんな過程で咲くんだろう」と
同行者と話したばかりでした。
早速、この記事を紹介します。いいものを見させていただきました。
Posted by yaso-bana at 2006年04月22日 22:38
yaso-banaさん、いらっしゃいませ〜。

ウラシマソウの記事、お楽しみ頂けましたようで何よりです。
そう、この花はどんな風に咲くのか気になりますよね。
こんな風でした。(^^)


また、遊びに来てやってくださいませ。よろしくお願いします。
Posted by はもよう at 2006年04月22日 23:18
はもようさん、こんばんは(^ー^)ノ
うわぁ、ウラシマソウの芽が出るところから
花になるまでの経過がよくわかって勉強になりました。
先日、ミミガタテンナンショウを初めて見たのですが、やはり、みなさん、上の桜の花にばかり夢中で、下の方に咲いていたミミガタテンナンショウに気づいた方は少なかったです。
私が写真に撮っているのを見て、何があるの?と覗かれていた方はいましたが・・・。

明日、記事をUPする予定なので
ウラシマソウではないけれど、同じサトイモ科テンナンショウ属の仲間ということで、はもようさんの記事を紹介させていただいてもいいですか?
Posted by asuka at 2006年04月27日 23:40
asukaさん、こんにちは。

ミミガタテンナンショウですか。
イイものに出会えましたね。
そう、皆さん、結構見落としていらっしゃるんですよ。
まぁ、興味のない方が見てもグロテスクにしか見えないかも知れませんが…(^^;)

記事をご紹介いただけるなんて光栄です。
よろしくお願いします。
Posted by はもよう at 2006年04月28日 14:37
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